この度、ITスクール「First」内で新プロジェクトを始めてみます。人工知能(AI)とRPAのIT技術を活用したFinTechの開発を行います。まだ、可能性検討の段階ですが、上手くいけばサービス化もできればと考えています。
1. プロジェクトのテーマ
本プロジェクトのテーマは、「FinTech」の開発です。以下は、日本銀行のWebサイトから抜粋したFinTechの説明です。
現在、世界中でFinTechに関するサービスの開発が盛んに行われています。主な分野としては、決算・送金(電子マネーや仮想通貨など)や、資産運用(ロボットアドバイザーなど)があります。
今回、ITスクール「First」で取り組むのは、「資産運用」に関するFinTechの開発です。具体的には、人工知能とRPAのIT技術を組み合わせて、ファンド運用の自動化に挑戦したいと考えています。
2. プロジェクトの目的
本プロジェクトをITスクール「First」で行う目的は大きく二つあります。一つは、実際に人工知能やRPAを使ってサービス開発することで、新しいIT技術に対する理解が深まり、高い学習効果が期待できることです。
もう一つは、IT技術はあくまで「手段」なので、実際にその技術を使ってサービスを生み出す姿勢が大切だと考えているからです。今回は、「金融業界」というドメインにて、社会的に意味のあるサービスを作ってみたいです。
3. 開発するFinTechの意義
今回開発するFinTechは、資産運用の売買判断を自動で行うシステムです。本システムの付加価値は、売買判断を人間(ファンドマネージャーなど)に依存させない仕組みを提供することです。
基本的には、ファンド会社は顧客から資金を預かり、ファンドマネージャーが金融商品の運用を行います。特に、アクティブ型のファンドは、金融市場の様々なデータを収集しながら、ファンドマネージャーの知見や経験に基づいて売買判断を行います。
ただし、その判断は常に正しいとは限りません。また、運用成績や結果は、ファンドマネージャーの腕に大きく依存することになります。そして、人間が運用しているため、いつかは引退しなければいけません。つまり、ファンド会社も「後継者問題」を避けられません。
特定の人間に依存している限り、一定のリスクを抱え込んでしまいます。そこで、今回は、人間に依存するのではなく、データに基づいた資産運用を行う仕組みを作ることを目指します。
4. システムの概要
開発するシステムの概要を下図に纏めます。システムの主な機能は、経済や金融に関するデータを入力すると、人工知能が資産運用の売買判断を自動で出力します。なお、実際に売買するファンドは、日本のインデックスファインドを想定しています。

4.1. 開発環境
システムの開発には下記を使用する予定です。
- UiPath(データ収集やシステムの起動)
- Python(機械学習モデルの構築)
- Google Apps Script(データ収集)
4.2. Input(入力)
日々更新される経済・金融データを入力として使用します。具体的には下記のデータなどを想定しています。日本だけではなく、海外のデータも参照します。なお、各種データはRPAなどを使用してインターネットから収集する予定です。
- 株価
- 金利(長期および短期)
- 為替相場
- 原油価格
- 金の価格
4.3. System(システム)
システムには人工知能(機械学習)を使用します。予め、過去の経済・金融データを学習させた「機械学習モデル」を構築しておきます。機械学習で使用するアルゴリズムの選定や教師データの作成方法については、ある程度試行錯誤する必要があります。
4.4. Output(出力)
システムは資産運用の売買判断を出力します。具体的には、「売り場」「買い場」「待機」などのシグナルを予測します。このシグナルをもとに、金融市場にてファンドの売買を行います。ただし、現段階では、売買の最終確認は人間が行うこととします。
5. リスクや課題
現時点で顕在化しているリスクや課題を列挙しておきます。
- 過去の経済・金融データが思うように収集できない
- 機械学習の予測精度が上がらない
- 開発資金のショート