「攻め」と「守り」の観点からIT投資を語る

今回は「生産性」という観点からIT投資を考えてみます。仕事の生産性は次の2点の大きさから判断することができます。

  • 付加価値(提供するサービスの対価)
  • 投下するコスト(労働力、資金など)

コストを下げるための「守り」のIT投資は既に広く行われています。例えば、管理システムの導入による業務プロセスの効率化などが代表例でしょう。

一方、サービスの付加価値を向上させる「攻め」のIT投資は、日本においてはこれからの課題であると感じています。具体例としては、IoTや人工知能(AI)などの技術を用いて商品やサービスの質を変化させる、又は今までにない斬新なものを創造することなどが考えられます。

IT投資が遅れるサービス業

一般的に日本の産業界では、製造業はIT投資が比較的進んでいますが、サービス業では遅れていると言われています。私も数年前まで製造業のエンジニアでしたが、確かに「守り」は勿論、徐々に「攻め」のIT投資は現場で行われていました。

医療や建設などの規制に守られた一部の業界ではIT投資が遅れがちですが、製造業全体としては、IT投資に対する意識は相対的に高いと言って間違いはないでしょう。

教育業界におけるIT活用の遅れ

現在、私自身が働いている教育業界について言及すれば、IT投資への意識はやや遅れていると感じています。私が大学時代に塾講師のアルバイトをしていた頃(約10年前)と比較しても、やっていることはあまり大差がないように思います。

勿論、IT投資が行われている事例はあると思います。例えば、ネット上で学習するeラーニングや学習履歴データを活用した学習効率化サポートなど。しかし、低コストで広く普及していくのにはまだ時間がかかると思われます。

今後、日本は少子高齢化による労働力の減少が予想されます。教育業界も質の高い教員の確保が難しくなると肌で感じています。ここにIT投資による生産性向上の可能性があると考えられます。

意識の高い経営者は水面下で動き出しているでしょう。現在、私がお世話になっている学習塾の経営者から、先ずは「守り」の観点である総務や経理に関する業務を、ITを使って効率化したいとご相談を受けております。

まだIT投資が進んでいない「サービス業界」は大きなビジネスチャンスがあると感じています。業務プロセスの効率化は勿論、価値のあるデータを特定し、そのデータの収集と活用に積極的に挑戦することが重要です。

個人的にも、サービス業を展開する中小・中堅企業に、「攻め」と「守り」のIT活用を支援できるように腕を磨いていきたいと思います。

まとめ

今回は下記について書きました。

  • 生産性を向上させる「IT投資」が求められる
  • 生産性は、付加価値(攻め)とコスト(守り)の2点より考察
  • 日本ではサービス業界でIT投資が遅れている
  • 業務プロセスの効率化と、サービスの質向上が決め手