【Lv.3 上級】RPA実務参画プロジェクト・テーマ2「投資取引データのシステム登録」

rpa advanced theme2

ITスクール「First」が提供しているRPA講座シリーズ「上級講座」のテーマ2の内容を説明します。題名は「投資取引データのシステム登録」で、主に非構造化データ(PDFファイル)とPCアプリを使用した業務を自動化するRPAシステムを構築します。なお、RPAシステムには例外処理を組み込み、業務やサービスがエラー停止しないように対策します。

1. テーマの進め方(プロセス)

「上級講座」では、実際のRPA開発プロジェクトに近いプロセスで進めます。全体のプロセスを下図に示します(一番下の図を参照)。プロセスはStep.0~3までの全4段階で構成され、各Stepは複数のタスクを持っています。Step.0「企画」から順に進めていきますが、途中に2回ほどレビューを実施し、指摘事項があれば前のStepに差し戻しされます。

rpa course details

テーマ2で使用する「開発計画書」を下図に示します。開発計画書には、プロジェクトを進めるチームメンバーの役割分担や開発環境、全体スケジュール、タスク内容などを記載しています。なお、使用するRPAソフトの種類は任意とします。

development plan

各Stepの特徴は以下の通りです。

Step.0「企画」

主に構築するRPAシステムの「要件」を定義します。また、プロジェクトの全体計画も作成します。本タスクは既にプロジェクトマネージャーが実施しており、開発者であるスクールの生徒は、「技術面の可能性検討」からスタートすることになります。

そして、ワークフローの作成の前に、「入出力サンプルの作成」を行います。これは、実際に使用するファイルやデータなどを具体化していく作業です。この作業により、今から構築するRPAシステムを明確にイメージできるようになります。

テーマ2は主に非構造化データとPCアプリを使用する業務で、入力にはPDFファイルを使用します。また、構築するRPAシステムには「例外処理」を組み込み、データの抽出やシステムへの登録でエラーが発生した場合に停止させないようにします。

Step.1「構築」

Step.0「企画」のアウトプットである要件定義書と開発計画書にもとづいて、実際にRPAシステムを構築していきます(ワークフローを作成)。ただし、上級講座では、特にお手本となる資料はないため(あえて作っていません)、分からないことがあれば随時、自分でネット情報などを調べながら進めていくことになります。

最初はかなり大変だと思いますが、誰にも頼らずに自分で考え抜く経験を積むことで、ITスキルと思考力が飛躍的に高められます。テーマ2では、非構造化データ(PDFファイル)の処理が実装で一番難しいポイントになるでしょう。

ワークフローが完成すれば、「実装レビュー」を実施します。変な癖や非効率的な作り方などを、一つ一つ指摘していきます。自分が作ったものを第三者から指摘されることは辛いと思いますが、レベルの桁を1つ上げるためには、このレビューは必要不可欠です。

レビュー後はワークフローの修正などを行います。指摘事項がすべてなくなるまでこのサイクルを回します。そして、ようやくRPAシステムの完成です。

Step.2「検証」

Step.1「構築」のアウトプットであるRPAシステムが正しく動作するか検証します。いわゆる、システムテストです。システムテストでは、Step.0で作成した「要件定義書」に記載しているすべての要件を満たすか確認します。

特に、不完全な入力データ(ブランクや入力ミスなど)や、分岐処理の全パターン、例外処理の効果などを網羅的に検証します。勉強のために、システムテストの計画書や報告書などは、開発者であるスクールの生徒に作成してもらいます。なお、テスト計画時にはレビューを行います。

Step.3「運用」

Step.2「検証」でRPAシステムが問題なく動作すれば、実際の運用に入ります。基本的にシステム開発を行う場合は、開発する環境と運用する環境が異なるケースが多いです。運用専用の環境にRPAシステムをデプロイしますが、環境の違いによってトラブルが発生する可能性がありますので気をつけましょう。

また、運用時にRPAシステムを実際に使用するユーザーが参照できる簡易な「運用マニュアル」も作成します。運用マニュアルを作成する場合は、開発する側の視点から、運用する側の視点に切り替える(想像する)必要があり、色々と学びが多いでしょう。特にテーマ2では、非構造化データ(PDFファイル)やPCアプリに関する説明や使い方などをしっかりと記載しておきましょう。

実際に運用専用の環境にてRPAシステムを仮運用し、何かしら問題が発生すれば、Step.1「構築」に差し戻されます。問題なく仮運用が回り出せば、晴れてプロジェクトは完了です。最後に、チーム内でプロジェクトの簡単な振り返りを行います。今回のRPAシステムの導入によって、どれくらい「投資対効果」が出たか算出してもらいます。

2. テーマの内容(要件定義)

2.1. 概要

テーマ2「投資取引データのシステム登録」は、ある個人事業主が保有する非構造化データをシステムに登録していく架空の物語です。この個人事業主は現在、不定期に投資商品で資産運用を行っています。取引の度に証券会社から取引報告書(PDFファイル)が送付されてきます。この報告書に記載されているデータを、PCアプリに登録して資産運用の成果を分析しています。

ただし、すべての作業を手動で行っているため、かなり時間がかかっています。そこで、今回はRPAシステムで本作業を自動化することで、作業時間の短縮と作業の精神的負担の軽減を実現させます。そして、今後はデータ分析などの付加価値の高い業務に力を入れて、資産運用の成果を伸ばしていきたいと考えています。

2.2. 要件定義書

参考資料として、テーマ2で構築するRPAシステムの「要件定義書」を下図に示します。なお、要件定義書には最低限の内容しか記載しておりません。より具体的な仕様などについては、プロジェクトマネージャーと開発者が相談して決定していく予定です。

requirements document

※より深く「RPA」を学びたい方は、スクールでオンライン講義もやっていますので、良かったらこちらの記事もご覧ください。